目次
測定機器編
ノギス
ノギスは手持ち式の測定機器で、内側・外側・高さ・深さなどを測定することができます。
手軽に様々な寸法を測定することができるため、加工現場では必須と言える測定機器です。
ノギスは形状が特殊なタイプがありますが、ここではよく見かけるデジタル式ノギス、アナログ式ノギスを紹介します。
デジタル・アナログ式のメリット・デメリットは以下のとおりです。
デジタル式
○メリット
・数値の読み取りが容易で、読み間違いを少なくすることができる。
・数値の読み取りに時間が掛からないため作業効率を上げることができる。
・特定の位置を0点にする機能がついている。
○デメリット
・電池が必要であるため、電池切れに注意する必要がある。
・アナログ式よりも値段が高い
(amazonで安いデジタルノギスが販売されていますが精度が怪しいです。DIY用で少しラフな寸法で使用するのであればいいかもしれませんが、仕事用であればメーカー品が良いと考えます。)
アナログ式
○メリット
・電池が不要のため、電池をストックしておく必要がない。
・デジタルノギスに比べ安い。
○デメリット
・メモリの読み間違えを起こす可能性がある。
・読み取りによっては精度に差が出る場合がある。
・数値の読み取りに熟練を要するため、初心者にとっては使いにくい場合がある。
・デジタルノギスと比較して、数値の読み取りに時間が掛かる。
ノギスの読み取り値と最大許容誤差に関して
ノギスで読み取れる最小の数値は一般的に
アナログ式は0.05mm
デジタル式は0.01mm
です。ただし、測定精度は別の話しとなり、最大許容誤差を確認する必要があります。
最大許容誤差とは測定機器の誤差で、決められた規格値以内であれば良しとされるものです。
最大許容誤差は、最小読取値と測定長によって決められています。
例えば
最小読み取り値0.05mm、測定長50mm以下であれば±0.05mm
最小読み取り値0.01mm、測定長50mm以下であれば±0.02mm
です。
測定長が長くなればなるほど、最大許容誤差は大きくなります。
詳しく知りたい方は下記URLのJIS B 7507をご覧ください。
kikakurui.com(11ページ目参照)
https://kikakurui.com/b7/B7507-2016-01.html
マイクロメータ
マイクロメータは、物体の厚さなどの測定ができる機器です。
ノギスと比較すると測定精度が高くμm単位まで測定できるものがあります。(μm=0.001mm)
マイクロメータにもアナログ、デジタルのものがあります。
メリット・デメリットに関してはノギスと同じで
価格、電池の有無、読み取り間違いのしやすさが大きな違いです。
マイクロメータも最大許容誤差がありますので
詳しく知りたい方は下記URLのJIS B 7502をご覧ください。
kikakurui.com(16ページ目参照)
https://kikakurui.com/b7/B7502-2016-01.html
ダイヤルゲージ
ダイヤルゲージは、測定対象の寸法差を測定することができる機器です。
また、同軸度や平面度、平行度などの幾何公差の測定も可能です。
ダイヤルゲージは単独で使用することはできませんので、スタンドや治具を用意して固定する必要があります。
ダイヤルゲージにはスピンドル式やテコ式などの種類があり、
それぞれ以下のような特徴があります。
スピンドル式ダイヤルゲージ
・ストローク(測定範囲)テコ式に比べ広いため、寸法変化が大きい測定物を得意とする。
・平面度などの幾何公差確認、量産部品の比較検査などによく使用される。
てこ式ダイヤルゲージ
・旋盤、フライス盤の芯を出すときのズレ量確認や製品の振れ具合などを確認するときによく使用される。
・スピンドル式ダイヤルゲージに比べてせまい場所の測定することができる。
ハイトゲージ
ハイトゲージは製品の高さ測定、ケガキ作業(加工の目安となる線をつける作業)に使用できる測定機器です。
また、測定部先端にダイヤルゲージ(てこ式)をつけることで、平行度・平面度といった測定もすることができます。
三点式内側マイクロメータ(ホールテスト)
内径測定に特化した測定機器です。「ホールテスト」と呼ばれることもあります。
特徴は以下の通りです。
・深い位置の内径を測定することができる。(ノギスの場合入り口付近しか測定できない)
・深穴の各位置での内径を測定することができる。(テーパー形状やくぼみ形状の検出)
・作業者による測定のばらつきを少なくすることができる。
測定顕微鏡
顕微鏡のような形をしている測定機器です。
ステージに製品を置き、XY座標で製品の寸法を測定することができます。
特徴は以下の通りです。
・非接触の測定が可能。
・ノギスやマイクロメータでは測定できない面取り寸法などが測定できる。
投影機
ステージに製品を置き、XY座標で製品の寸法を測定することができる測定機器です。
特徴は以下の通りです。
・非接触の測定が可能。
・ノギスやマイクロメータでは測定できない面取り寸法などが測定できる。
・角度の測定も可能。
輪郭形状測定機
製品をなぞることで測定できる接触式の測定機器です。
面取り、R形状、角度、ねじピッチ等様々な形状を測定することが可能です。
出典:株式会社 ミツトヨ ~輪郭形状測定機 FORMTRACER Avant C3000シリーズ~
引用元:
https://www.mitutoyo.co.jp/products/measuring-machines/form-measuring-machines/contour/218-361-10/
表面粗さ測定機
製品の表面粗さを測定することができる機器です。
表面粗さが必要なる例として以下のようなことがあります。
・シール性が要求される箇所
・製品が摺動する箇所
・組付け(はめ合い)精度が要求される箇所
出典:株式会社 ミツトヨ ~表面粗さ測定機 SURFTEST SV-2100シリーズ~
引用元:
https://www.mitutoyo.co.jp/products/measuring-machines/form-measuring-machines/roughness/178-636-01/
三次元測定機
三次元測定機は、複雑な形状を高精度に測定できる計測器です。
特徴は以下の通りです。
・立体的な形状の測定が可能
・幾何公差(平面度、真円度、同軸度等)の測定が可能
・測定精度が高い
くわしく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
まとめ
今回は、工場で使用される主な測定機器について説明しました。
上記はあくまでも代表的なものを取り上げさせて頂きました。
一番使い勝手がいいのはノギスですが、
精度が要求される場面・測定が難しい部分は他の測定機器を利用していくようにしましょう。
初歩の知識として、測定機器のイメージを持って頂けたら幸いです。