工場知識

有機溶剤作業主任者とは?作業主任が必要な場面とは?作業主任者になるためには

とにー
とにー
有機溶剤作業主任者で調べても、難しい言葉が多すぎてよくわからない・・

この記事はこんな方にオススメです。
・有機溶剤作業主任に関して知りたい方
・有機溶剤作業主任者の職務内容を知りたい方

有機溶剤作業主任者とは

職場で ※基準値以上の有機溶剤を取り扱う時に、有機溶剤作業主任者を選任しなければいけません。

「そもそも有機溶剤とはなにか」
「基準値以上の有機溶剤はどうやってチェックするのか」
を以下に説明します。

※ 当該有機溶剤と当該有機溶剤以外の物との混合物で、当該有機溶剤を当該混合物の重量の5パーセントを超えて含有するものを含む。)を製造し、又は取り扱う業務

引用元:東京労働基準協会連合会

 

有機溶剤とは

有機溶剤の特徴

有機溶剤は、基本的に揮発性が高い(液体から気体になりやすい)です。
そのため呼吸で体内に吸収されやすく、油脂に溶けやすい性質から皮膚からも吸収してしまいます。

有機溶剤の使用用途

有機溶剤の使用用途は様々ありますが、
例えば塗装材や工業系の洗浄によく使用されます。

有機溶剤は能力が非常に高く、安価でもあるため、幅広く使用されています。
その分人体への影響も大きいため使用する際は
適切な作業環境・装備を整えなければいけません。

有機溶剤の種類

有機溶剤も様々種類があるのですが、代表的なもので言うと以下のものがあります。

・シンナー
・イソプロピルアルコール(工業用アルコール)
・メタノール
・アセトン
・キシレン
・ガソリン

有機溶剤中毒予防規則の対象となる54種類に関しては下図をご覧ください。
第1種~第3種に分類されており、数字が若くなるほど取り扱いに注意が必要となります。

引用元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

 

有機溶剤作業主任者の職務

主に以下の4つです。

・作業の方法を決定し、労働者の指揮すること
・局所排気装置、プッシュプル型換気装置または全体換気装置を1ヶ月以内ごとに
点検すること
・保護具の使用状況を監視すること
・タンク内作業における措置が講じられていることを確認すること。

作業の方法を決定し、労働者の指揮すること

まず、使用する有機溶剤にどのような危険性があるのか教育する必要があります
その上で作業主任者は、なるべく人体へ影響が出ないような作業方法を決定する必要があります。

局所排気装置、プッシュプル型換気装置または全体換気装置を1ヶ月以内ごとに
点検すること

何らかの原因で、換気装置の排気が弱まった場合に気体になった有機溶剤をうまく排出できなくなります。
屋内の作業であれば、部屋の有機溶剤濃度が高まり人体への影響も大きくなるため
換気装置のチェックを1ヶ月以内ごとにする必要があります。

保護具の使用状況

保護具の着用が必要な場合に、しっかりと防毒マスク・保護メガネを着用しているかチェックする必要があります。
着用が面倒・呼吸がしづらい等の理由で保護具を使いたがらない人もいますので、しっかりチェックするようにしましょう。

タンク内作業における措置が講じられていることを確認すること。

タンク内の作業は非常に危険です。以下の措置をしっかりと守りましょう。

第二十六条 事業者は、タンクの内部において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。

一 作業開始前、タンクのマンホールその他有機溶剤等が流入するおそれのない開口部をすべて開放すること。
二 労働者の身体が有機溶剤等により著しく汚染されたとき、及び作業が終了したときは、直ちに労働者に身体を洗浄させ、汚染を除去させること。
三 事故が発生したときにタンクの内部の労働者を直ちに退避させることができる設備又は器具等を整備しておくこと。
四 前各号に掲げる措置のほか、有機溶剤等を入れたことのあるタンクについては、作業開始前に、次の措置を講ずること。
イ 有機溶剤等をタンクから排出し、かつ、タンクに接続するすべての配管から有機溶剤等がタンクの内部へ流入しないようにすること。
ロ 水又は水蒸気等を用いてタンクの内壁を洗浄し、かつ、洗浄に用いた水又は水蒸気等をタンクから排出すること。
ハ タンクの容積の三倍以上の量の空気を送気し、若しくは排気するか、又はタンクに水を満たした後、その水をタンクから排出すること。

引用元:
有機溶剤中毒予防規則 第四章 管理(第十九条-第二十七条) 安全衛生情報センター

 

詳細な情報

厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署で、詳しくまとめられた資料があります。
より深い内容を知りたい方はご覧ください。

有機溶剤を正しく使いましょう(pdf)
引用元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

 

有機溶剤作業主任者が不要な場合でも安全というわけではない

含有している物質が基準値以下でも決して安全というわけではありません。
・直接手で触ると肌が荒れる
・長時間吸い込むと具合が悪くなる
・引火性が高いため、火気厳禁
・目に入ったら大量の水で洗い流す
等、取り扱いはには様々な注意が必要です。
溶剤のSDSを見ると注意事項が詳細に記されていますので、確認するようにしましょう。

使用している溶剤が基準値以下だったとしても、有機溶剤の基礎知識を知っておくという意味で資格を持っておくのも良いでしょう。

有機溶剤作業主任者になるには

有機溶剤作業主任者は講習で取得できます。
受講したい場合、お近くの労働基準協会連合会などにお問い合わせください。

講習は2日間で、配布されるテキストに沿って講師が説明をしていく形です。
実技はありませんが最後に筆記試験(修了試験)があります。

筆記試験自体はそれほど難しくなく、講習中話をしっかり聞いていれば合格できる
難易度です。(合格率は90%以上という説もあります。)

修了試験に合格すれば修了証が発行されます。

まとめ

・有機溶剤作業主任者の必要・不必要は取り扱っている溶剤をチェックする。
・作業者の健康を守り、より良い環境で作業できるようにする。
・講習を受けて修了試験に合格すれば、作業主任者になれる。

有機溶剤ですが、工業系の仕事であればかなりの確率で使用されています。
先輩社員が素手で液体に触れながら作業しているようなものも
実はよくない溶剤だったというパターンもあります。

一度自分の使用している溶剤をチェックすることをオススメします。
安全データシートでなくても製品に表示されているラベルで含有物質くらいは
チェックできます。

何をするにしても健康が一番大事ですので、
溶剤を扱う際はしっかりと対策をするようにしましょう。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です