この記事はこんな方にオススメです。
・三次元測定機を知りたい方
・メリット・デメリットを知りたい方
・測定器に詳しくなりたい方
難しい言葉を使用せず三次元測定機を説明します。
目次
三次元測定機とは
三次元測定機は、複雑な形状を高精度に測定できる計測器です。
主な特徴
・立体的な形状の測定が可能
・幾何公差(平面度、真円度、同軸度等)の測定が可能
・測定精度が高い
測定例:下図の円A・円Bの距離X,Yを簡単に測定することができます。
三次元測定機がない場合は、ノギスで円A・Bの直径と最短ピッチを測定し計算するか
工具顕微鏡、投影機(貫通穴の場合のみ)等で測定するしかありませんが、少々面倒です。
三次元測定機であれば、X・Yの測定と同時に円A・Bそれぞれの真円度を測定できますし、プレートの中心0点から円A・Bの距離も測定することができます。
上図はあくまで一例でかなり複雑な形状も測定することができます。
三次元測定機の種類
大きく分類すると接触式・非接触式があります。
接触式 三次元測定機
三次元測定機と言えば、接触式が一般的です。
中でも代表的なのは門の形をした測定器です。(下図参照)
X,Y,Z方向にアームを動かし、プローブと呼ばれる球体の測定子を測定箇所に当てて測定を行います。
CNC三次元測定機は一回プログラムを作成すれば、次に同じものを測定するときに
自動でアームが動いて測定を行ってくれるため非常に便利です。
量産品の受け入れ・出荷検査で非常に役立ちます。
出典:株式会社 ミツトヨ
引用元:CNC三次元測定機 CRYSTA-Apex V500シリーズ
非接触式 三次元測定機
画像測定機
非接触式は三次元測定機というより画像測定機と表現されることが多いです。
非接触式は、歪みや変形、破損の恐れがある精密な部品の測定に向いています。
出典:株式会社 ミツトヨ
引用元:CNC画像測定機 クイックビジョン アクティブ
3Dスキャナ型 3次元測定器
測定物がステージの上で回転し形状をスキャンします。
スキャンされた形状はパソコンで3Dモデルとして確認できます。
寸法測定(幾何公差含む)、CADとの形状比較が行える測定機器です。
出典:株式会社 キーエンス
引用元:3Dスキャナ型 三次元測定機 VL-500
三次元測定器 メリット・デメリット
メリット
・複雑な形状の測定が可能
三次元的な形状を測定できます。
ノギスやマイクロ、ダイヤルゲージで測定できないような寸法を測定することができます。
・幾何公差の難しい測定が可能
代表的なところで、平面度、真円度、同軸度、円筒度といった測定に困るような
幾何公差の測定をすることができます。
・高精度(μm)の測定が可能
μm単位の精度が保証されているため、高精度な寸法が要求される製品の測定も
向いています。
・CNC三次元測定機であれば、プログラムで自動測定が可能
量産品で、今後継続的に受け入れ検査をしなければいけないものがあった場合
測定プログラムを作ってしまえば、自動で測定をすることができます。
プログラムを作るのは勉強が必要ですが、プログラムが容易されている状態であれば
初心者でもボタンを押すだけで測定することができます。
デメリット
・機械のサイズが大きい
例えば、ミツトヨのCNC三次元測定機 CRYSTA-Apex V544であれば
高さ2185mm✕幅1082mm✕奥行き1191mmとかなり場所をとります。
・恒温室が必要
三次元測定機は非常に高精度な測定ができる分、温度管理を徹底しなければいけません。
理由としては、材料は温度変化で寸法が変化するからです。
※ただし、温度管理が不要な キーエンス製ハンディタイプの三次元測定機 も存在します。
・導入コストがかかる
高級車が購入できるくらいのコストがかかります。
・測定に知識が必要
測定物のどの面、点を基準とするかで測定結果が変化することがあります。
製品の用途的にどの部分を基準とするのか、見極められるレベルの知識が必要です。
※機械の操作自体は講習が定期的に行われているため、心配ありません。
三次元測定器 英語 呼び方
英語で「Coordinate Measuring Machine」と言います。
略称は「CMM」です。
略称:CMM (Coordinate Measuring Machine)
出典:Wikipedia
引用元:三次元測定機
まとめ
・複雑な形状の製品を測定できる。
・測定精度が高い。
・導入コストが高い。
今回は、三次元測定機の説明をしました。
最近は品質に対する要求が厳しくなっており、高精度な測定が要求される場面が
増えています。
三次元測定機がなくても、デジタルマイクロやデジタルダイヤルゲージ等を駆使すればμmは測定可能ですが、幾何公差の測定はなかなか難しいです。
また、受け入れ検査・出荷検査で毎回測定するものがあれば、自動測定が便利です。
導入コストが高いのがデメリットですが、ものづくり助成金等を駆使して導入すれば負担を減らすことができます。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです。