工場知識

品質を保証するにはどうすればいいのだろう・・工程能力を出そう!

どうも、とにーです。

今回は、製品の品質を保証する上で重要となってくる
【 工程能力 】の考え方に関して説明をしていきたいと思います。

工程能力とは

工程能力は製造分野においてどれだけ品質が安定しているかを示すものとなります。

例えば金属加工分野では、一日中加工すると精度にばらつきが出てきます。
精度のばらつき具合によっては、図面寸法から外れているものも
生産されている可能性もあります。

そこで、工程能力が出ていれば1日の製品の加工のばらつき具合は安定しており
量産加工しても寸法から外れているものはなく安定しているという証明になります。

工程能力を算出したいところの寸法を測定する

工程能力を算出するには、寸法測定をしてデータを集める必要があります。

データを集めるため、例えば30個の製品の寸法を測ります。
(測定する製品の数が少ないと工程の安定具合を見るには不十分ですので
最低30個は測定した方が良いと考えます。)


データを取る30個も一日の

・ 初めに生産した10個
・ 昼に生産した10個
・ 夕方に生産した10個

のようにバラバラの時間帯で生産したものから取るのが望ましいです。



厳密に言うと、
別々の日に生産したロットからランダムに抜きとって測定したほうがよろしいです。

ただし、工程能力を算出するのは量産開始前が多いため、別々の日に生産したロットから
抜き取ることが難しい場合の方が多いです。

その場合は客先から了解を得つつ、データを取るようにしましょう。

Cp について

工程能力には Cp という言葉が出てきます。
この Cp は加工品のばらつきを示すものです。
加工品のばらつきが大きいとCpの値は小さく(悪く)なります。

例えば100 mm ±0.10 mm の寸法公差があったとします。
(下記例えはあくまで見本ですので5個のデータとします。)

測定した寸法が

100.01 mm
100.03 mm
100.04 mm
100.02 mm
99.99 mm

とした場合、
最大値が110.4mm
最小値が99.9mm
平均値が100.02mm
となります。

これを下記の式に当てはめて計算を行います。





※標準偏差に関して
標準偏差とは上記5個の寸法データに対してどれだけ 寸法がばらついているかを
統計学的に計算しやすいようにした数値です。
標準偏差を理解するには難しい話も出てきますので
今回は簡単に計算ができるサイトの URL をご紹介させていただきます。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1309781757

【 引用元:ke!san 生活や実務に役立つ計算サイト 度数分布の平均・標準偏差】


では実際に計算してみます。




≒(ニアリーイコール):ほぼ等しい。約。
この1.67という数値がどういう意味を持つかそれは
「Cpkについて」で説明します。

Cpk について

寸法公差に対して、製品がどの精度で加工されているかを示すものです。

例えば公差上限 100.10mm付近の寸法で100.08・100.09mmの精度で
加工されている製品が多い場合は、100個200個生産したときに
寸法から外れる可能性が高くなります。

公差上限・下限付近で加工されている製品が多い場合は、Cpkの値は小さく(悪く)なります。





上記二つの式を計算して、答えが小さい方をCpkの値とします。
下記に計算例を示します。




この場合、Cpk(上限) 1.33 の方が値が小さいのでこちらの値を採用します。

それでは、Cp・Cpkで算出した値の見方を説明します。

算出した数値が【 1.33 又は 1.67 以上 】であれば、工程能力があり寸法が
安定しているといって良いです。

※1.33 又は 1.67 としたのは、 1.33 あれば安定していると判断できるのですが
 客先によっては1.67以上を要求される場合があります。
 どれだけの品質が要求されるのかは、客先とよく打ち合わせするようにしましょう。


まとめ

Cp :加工品のばらつきのこと
Cpk:製品の生産精度のばらつきのこと
1.33 以上あれば工程能力があると判断することができる。
ただし、客先によっては1.67以上必要とするところもあるため
しっかり打ち合わせをする必要がある。


いかがだったでしょうか。

工程能力は品質管理の考え方では非常によく出てくる言葉です。
計算式が出てくるため、あまり頭に入ってこない。という方が
いらっしゃるかもしれません。

試しに一回工程能力を算出してみて、慣れるところから
はじめていきましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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