この記事は
・ジクロロメタンが何か知りたい方
・ジクロロメタンの危険性を知りたい方
におすすめの記事です。
目次
ジクロロメタンとは?
ジクロロメタンとは、工業業界で使用されることが多い溶剤(有機溶剤)であり
洗浄剤として使用されることが多いです。
【 使用例 】
・金属部品・基盤等の洗浄。脱脂用途。
・塗料の剥離剤(はくりざい)。ー塗料をはがす。
・医療・農薬の溶剤。
・繊維・フィルムの溶剤。
・ウレタン発泡の助剤。ーウレタンの発泡を助ける(向上させる)。
等々
洗浄力・揮発性(常温で気体になる速度)が非常に高く、価格も手頃であるため
工業業界で使用される機会が多いです。
ジクロロメタンの濃度が90%以上のものを使用するパターンと
他の有機溶剤に数%~数十%混ざっているパターンがあります。
ジクロロメタンは有機溶剤の中でも
取り扱いに十分注意が必要な位置づけにあります。
※2014年11月1日に取り扱いが強化されました。
ジクロロメタンは発がん性がある?人体への影響は?
発がん性がある?
「人に対して発がん性のおそれがある」という位置づけになります。
ただし、動物(マウス)を使った2年間の試験では発がん性が認められています。
マウスで発がん性が認めらているのに、人に対しては発がん性の”おそれ”となっているのはどうして?と考えるかもしれません。
理由は、人に対して発がん性があると証明するだけのデータが不足しているからです。
人に対してのデータは不足しているが、マウスを使った検証では発がん性が認めらているため、「人に対して発がん性のおそれがある」という表現になっています。
実際、2013年印刷会社で16名が胆管がんを発症し労災認定されたニュースがありました。
胆管発症の原因は「1、2ジクロロプロパン」と「ジクロロメタン」とされ、印刷機のインクを落とす洗浄剤に大量に含まれていたようです。
検討会がまとめた報告書によると、胆管がん発症の原因とされたのは化学物質「1、2ジクロロプロパン」と「ジクロロメタン」。印刷機のインクを落とす洗浄剤に大量に含まれていた。検討会は2つの化学物質について「発症原因と医学的に推定される」とした。
人体への影響は?
人体へは以下の影響があります。
・飲み込むと有害(経口)
・皮膚刺激
・強い眼刺激
・発がんのおそれの疑い
・中枢神経系、呼吸器の障害
・眠気及びめまいのおそれ
・長期又は反復ばく露による中枢神経系、肝臓の障害
・水生生物に毒性
・長期的影響により水生生物に毒性引用:職場のあんぜんサイト
色々と書かれているため、恐怖心を抱くかもしれませんが
大切なのは正しく使用することです。
換気・保護具の着用等しっかり守り正しく運用しましょう。
ジクロロメタンの取り扱い
ジクロロメタンが含まれているかはSDSで確認
SDS(安全データシート)とは
自分が使用している溶剤にジクロロメタンが含まれているかはSDSで確認することができます。以下にSDSの説明を示します。
SDSとは安全データシートと呼ばれるもので、
成分・危険性・取り扱い方 が記された資料です。
SDSの入手方法としては主に3つです。
・インターネット
メーカーによってはホームページ上からダウンロードできる場合があります。
(ホームページに公開しているメーカーはあまり無いため、こちらの方法は入手性が悪いです。)
・溶剤を購入している商社を経由してもらう。
会社で溶剤を購入している場合は商社を通している場合が多いと思います。
その場合商社に依頼すれば大抵もらうことができます。
このパターンでもらうことが一番多いです。
・直接製造メーカーに問い合わせてもらう。
ホームセンターやインターネット通販から直接購入したのものであれば
溶剤のメーカーに直接連絡してもらう方法があります。
「組成、成分情報」をチェック
ジクロロメタンが含まれているかはSDSに記されている「組成、成分情報」をチェックしましょう。
以下に例を示します。
こちらはジクロロメタン単体のSDSですので、もちろん99.5%以上含まれていることを示しています。
ジクロロメタンの別名
有機溶剤は別名で色々な呼ばれ方がすることがあります。
ジクロロメタンの別名を抑えておきましょう。
たくさんありますが「ジクロロメタン・塩化メチレン」と呼ばれることが多いです。
・塩化メチレン
・二塩化メチレン
・メチレンクロライド
・メチレンジクロライド
・メチレンクロリド
・メチレンジクロリド
・ジクロルメタン
ジクロロメタン取り扱い
ジクロロメタンの取り扱いには、様々な条件がともないます。
細かな条件は厚生労働省で公式に発表されている情報をご確認ください。
厚生労働省 ー特定化学物質障害予防規則等を改定ー
厚生労働省 ー有機溶剤を正しく使いましょうー
一部分だけ紹介すると
・発散抑制措置等(製造工程の密閉化、局所排気の設置等)
・作業主任者の配備
・作業環境測定
・健康診断の実施
・ジクロロメタンの使用量・作業時間の記録
等々まだまだあります。
正しい知識と運用方法で使用するようにしていきましょう。
一番良いのは・・
一番良いのは使用しないことです。
ただし、業務上使用しないと仕事にならないという場面が多々出てきます。
次の手として、有害性の少ない有機溶剤に切り替えることです。
最近はジクロロメタンの代替となる溶剤も出てきていますが、コストが高いというデメリットがあります。
見積りを取ったことがあるのですが、ジクロロメタンよりも2倍以上は覚悟した方がいいです。加えてジクロロメタンよりも少し洗浄力が劣ります。
洗浄能力・コスト面で代替の溶剤を一度検討して
それでもダメなら作業環境を整えてジクロロメタンを運用していくようにしましょう。
まとめ
・ジクロロメタンは工業業界でよく使用。主に洗浄剤として使用。
・人に対しては発がん性のおそれがある。
マウスを使った検証では発がん性が認めらている。
・溶剤にジクロロメタンが含まれているかはSDSで確認できる。
ジクロロメタンは洗浄能力・揮発性が非常に高く、とても便利なため昔からよく使用されています。
規制が強化されてからは代替の溶剤に切り替える会社も多いです。
しかし、洗浄力とコスト面からどうしても使用しなければいけない会社もまだまだあるようで、適切な作業環境の設置が求められてます。
もし、今の職場でジクロロメタンを使用している場合は自分の作業環境が適切な状態にあるのか確認するようにしましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。